94年にメジャー第1弾として発表された本作は、全世界で1000万枚以上のビッグ・セールスを記録、グラミー賞でベスト・オルタナティヴ・パフォーマンスなど3部門を受賞するとともに、90年代のパンク・ロック・ブームを巻き起こすことになるモンスター・アルバム。本作をきっかけにバンドは、ワールド・ワイドなビッグ・スターへと昇りつめることになる。
その音楽性は、「ストレートでスピーディーなバンド・サウンド×思わず口ずさみたくなるポップなメロディ」が基本。このスタイルはメジャー・シーンを意識したものでも、セールスを狙ったものでもない。87年の結成当時から彼らは、キャッチーなパンク・ロックという方向性を打ち出し、地道に腕を磨いていた。その大いなる成果が本作の天文学的な成功だった、というわけだ。
特に、スポーティな快楽を生み出すバンド・アンサンブルと正確無比な演奏は、本当にすばらしい。流行に惑わされることなく(80年代後半、「パンク」はほとんど死語だった)、自らの音楽スタイルを貫く。その真摯な姿勢こそがこのバンドの魅力であり、時代を引き寄せるパワー源となっているのだろう。(森 朋之)